第四弾(イヤシロチのおとぎ話)
第四話
報徳爺さんは、この村だけでなく藩の主だった方からも、土地の見聞きの達人とその相談や指導に相変わらず引っ張りだこです。
それでも、ほかならぬ金次郎さんの頼みとあっては報徳爺さんも多少の無理は利かせます。
翌日、金次郎さんのお家にポロンと訪れてくれたのです。
報徳爺さんはこの土地を見るなり、
「これは聞いていた事と実際に来て見たのでは大違い。思ったよりもそのいやしろの特徴を如実に現しているぞ!」
それから『いや、これはいいかもしれない』と呟きながら報徳爺さんは、その土地の隅々を歩きまわりながら、気持ちよさそうな目つきで仰せられました。
「金次郎さんの土地は、いやしろちと言って、肥沃で活力のある力満載の土地じゃ、家内安全、商売繁盛、無病息災、五穀豊穣・・何をしてもうまくいく立派な黄金の地じゃ」
さて、問題は松五郎さんの土地じゃったね、隣だね。
と、二人をたづさえて、松五郎さんの宅地と田畑に赴きました。
『う~ん、うう~~~。』
顔色も冴えません。
「こりゃ、想ったよりひどいな。・・・早く言わないからだよ。」
『松五郎が手に入れたこの土地は、けかれち(気枯れ地)と言って、動植物の繁殖を阻み、大切な力を奪い、住むに適さず、まして農耕の努力も結果が身を結ばぬ、文字通り心身のエネルギーまで枯れてしまう特徴があるのじゃ』
「双方の代表選手を集めたような物じゃのお!」
とのお話に、、、、胸をつまされる思いの金次郎さんは、
「なぜそうなるのか、また対処方法はないのか」と、報徳爺さんに懇願するようにご指導を仰ぎました。
こまってしまった金次郎さん、果たしてその策など有るのでしょうか? 続く