完結間近、第9弾(イヤシロチのおとぎ話)
イヤシロチ化の方法(第9話)
その地鎮祭の数日前に、なにやら報徳爺さんは爺さんの知り合いなのか、先生なのか、当地の氏神様とは違う神主のような方を伴い、松五郎の田畑に赴きました、この地鎮祭に際し、前後二日にわたり極めて恐縮した様子でした。
爺様は、気にするなと言っては、その事には触れてはいけないような様子でしたので、一同すべて磁場の改善に集中し、その日の施工にかけるのみと一日千秋の思いでした。
いよいよ、地鎮祭に際し、氏神様を向かえ、地鎮の儀がはじまり、その作法も柏手や玉ぐしの意味まで練習した通り行い皆緊張の中無事終了。
直会は、お供え物のお下がりを頂きます。
お供え物や注連縄飾りの意味、その他昔からの言い伝えかと思っていたありがたいお話も、なるほどと、更に報徳爺さんの博識におシマはすっかり心酔してしまった様子でした。
いよいよ、磁場改善ですが、所定の場所に、所定の穴を掘り、大量の炭や、炭の粉を爺さんの指示通りに埋め、沢山の水を汲み出す作業も松五郎と金次郎一家総出の大仕事になりました。
3日がかりで、5反の水田と自宅の周りの磁場改善を行いました。
これは思った以上に重労働でしたが、図らずも天気にも恵まれきつかった作業も和んだ雰囲気の中進めることが出来ました。
驚いたことに余り疲れが尾を引いていてない事に気付き、あたらめて炭の力が復元力をもたらし、土地の力に左右していることを実感したものでした。
その後、時は瞬く間に一週間が過ぎまして、それからはびっくりしたことの連続の日々です。
その不思議な出来事は松五郎一家だけでなく、金次郎一家にも及び村人も人事でないだけに報徳爺さんの話を思い出しては皆でああでもないこうでもないと、不思議半分ありがたさ半分と言った気分です。
先ず、おシマが驚いたのは、あの日以来幼いその長男のひどい咳がぴたりとやんだ事。
埋設した穴の上に置いたどぶろくがまるで、上等酒のようにおいしい。
じめじめした暗い感じもさわやかさを感じるようになり、日に日にその驚きの話も枚挙に暇が無いほどに膨れ上がります。
これには想い当たる節もあります。
それは、元々いやしろちに住む金次郎さんが、元気で明るい家庭を築いていた事に重なる想いがあるのです。
全く他人事ではない気持ち、松五郎もおタネも日を追って元気も回復し、野良作業も十分ではないにしろかなりの量をこなせるまでになり、秋の収穫に向け、一同希望と元気を取り戻しながら、明るい笑い声も聞こえるまでになりました。
続く・・・